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執筆者の写真物性理論

進化と退化

マイク・タイソンがロイ・ジョーンズJrとエキシビション8回戦をやるらしい。今頃こんな試合誰が見るんだ?私は見るだろうけど、期待度は0。実際、どうもあまり評判がよくないようで、9月予定の試合が11月に延期になった。タイソンはデビュー間もないころからジョー小泉氏がテレビ東京と独占放映権を取って特番を組んだりしていたので、多くのボクシングファンがチャンピオンになる前から独特なボクシングスタイルに注目していた。


ヘビー級のボクシングスタイルを最初に変えたのは、蝶のように舞い蜂のように刺す、と表現されたモハメド・アリだろう。トレーナーのアンジェロ・ダンディと二人で作り上げたスタイルは、後に、ロベルト・デュランに負けたシュガー・レイ・レナードへと引き継がれ、第2の伝説を作ることになる。一方、タイソンのスタイルを作り上げたトレーナーのカス・ダマトは、タイソンがチャンピオンになる前に亡くなってしまい、引き継いでいるかもしれないケビン・ルーニーが名チャンピオンを作り上げたという話は聞かないので、このまま絶滅してしまう可能性がある。


日本人であまり個性的なスタイルが出てこないのは、おそらくトレーナーが典型的なスタイルを押し付けるからだろう。我が道を貫き通して世界戦でボコボコにやられた赤井英和のトレーナー、エディ・タウンゼントは、赤井ボーイはどれだけ言ってもガードを上げなかった、と嘆いていたが、あのスタイルが赤井にとって一番やりやすかったのだから仕方ない。


余り昔を回顧していても仕方ないのだけれども、なんとなく昔の方が発想の自由を楽しむ心の余裕があった気がする。あしたのジョーの中にも、実に妙なファイティングスタイルが登場する。漫画だから、と言ってしまえばそれまでだが、野球漫画の中にも、消える魔球や分身魔球のような、非現実的な魔球が登場し、読者はそれを受け入れる余裕があった。


研究も同じで、今は、有限の時間に有限の成果を出さないと評価が下がる厳しい世の中なので、不可能に挑戦することは避ける傾向になっている。まずできないと思うけど頑張るのでお金ください、と言ってもなかなか資金獲得は難しいだろう。私もそうだったけど、若いときは若いときで成果を出さないと次のポストが見つからないので、どうしても成果が出そうな研究を選んでしまう。そう考えると、無理難題に挑戦するのは、ある程度身分が安定した人の課題のはずなので頑張らないといけないなあ、と思う。幸い、学問は年をとっても続けられるし、非現実の世界を普通に受け入れてきた私たち世代の方がひょっとしたら発想の自由度は高いかもしれないのだから。




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